驚くべき発見:植物の「血液」が人体の細胞による太陽光エネルギー利用をサポート

20155127:00 pm投稿

ライター:Sayer Ji, Founder

著作権:GreenMedInfo LLC, 2015
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人体にとって最も基本的なエネルギーは食事ではない?植物の血液、クロロフィルを摂取することで太陽エネルギーを直接利用できる可能性

植物は偉大な生き物です。彼らが自分の足で移動できないのは、その必要がないからです。植物は獲物を探して歩き回ったりしなくとも、「クロロフィル」とよばれる分子によって太陽光からエネルギーをつくり出すことができるのです。

驚くべきことに、クロロフィルは人間の血液と非常に似ています。クロロフィルとヘモグロビンの構造はとほとんど同じで、たった一つ違う点は構造の中心が鉄かマグネシウムかというだけなのです。

消費するエネルギーを自ら生産するという植物のあり方は、動物と比べるとずっと平和的で、かつ手がかかりません。動物は常に次の食事のことを考えなければなりませんが、植物にはその必要がないのです。植物を「独立栄養生物」、食べ物を他の生物に依存する人間などの動物を「従属栄養生物」と呼ぶことからも、植物と動物のあり方の違いがわかります。

通常、この2種類の生物学的分類の境界線は明確だと考えられているのですが、「光合成従属栄養生物」(独立栄養生物と従属栄養生物のハイブリッド)といって、光をエネルギーとして利用できる一方、植物のように二酸化炭素を唯一の炭素源とするわけではなく、他の生物を食べる必要がある生き物もいます。

光合成従属栄養生物の代表は緑色・紅色非硫黄細菌やヘリオバクテリア(酸素非発生光合成を行う細菌)です。しかし興味深いことに、菌類から遺伝子を借りて植物のようなカルテノイド(赤やオレンジ、黄色の色素)を自ら生産するアブラムシの一種もいます。このアブラムシは、太陽光エネルギーを利用して色素を生産するために必要なエネルギーを補っているのです。

この驚くべき発見について詳しくお知りになりたい方は、2012年に発表されたサイエンスレポート" Light- induced electron transfer and ATP synthesis in a carotene synthesizing insect."(カロテンを合成する昆虫による光誘起電子移動とATP合成)をご参照ください。

この緑のカルテノイドの色をしたアブラムシは太陽光からエネルギーを生産することができます。驚きですよね?しかし、珍しい細菌や虫だけが光合成従属栄養生物なわけではありません。イモムシやげっ歯類、ブタ(生理的に非常に人間に近いとされる動物)もまた、クロロフィル代謝産物をミトコンドリアに取り込めることがわかってきています。これによって何が起こるかというと、ミトコンドリアがATPを生産するよりスピード(35%速く)と量(最大16倍の増加率)、両方の側面において効率的に、太陽光からエネルギーチャージできるのです。つまり、動物の中にも「光を食べる」ことのできる光合成従属栄養生物がいるということなのです。

このすばらしい発見は、昨年Journal of Cell Science(細胞科学ジャーナル)に掲載された"Light-harvesting chlorophyll pigments enable mammalian mitochondria to capture photonic energy and produce ATP"(哺乳類のミトコンドリアは光を採取するクロロフィル色素によってフォトンエネルギーを捕えATP生産している)というタイトルの論文によって発表されました(論文の全文をお読みになりたい方はsayerji@greenmedinfo.comまでご連絡ください)。20154月の投稿http://www.greenmedinfo.com/blog/dietary-chlorophyll-helps-us-captureuse-sunlight-energy-groundbreaking-study-1 でもお知らせした通り、人間をはじめとする動物は完全な従属栄養生物であるとする従来の考え方は、この論文によって完全に覆されてしまいました。

動物はブドウ糖だけを燃料にする生物マシーンではなく、光を採取するハイブリッド

少なくともこの半世紀の間、科学界で信じられてきたのは「人間は完全にブドウ糖に依存しており、太陽光からエネルギー補給することはできない」という考え方です。しかし生命それ自体の非常に高い知性と限りなく複雑なデザインを考えた時、太陽光のように豊富で手に入りやすいエネルギーを利用すべく進化してきたと考えるのが自然なことのように思えるのです。そのように進化する方が生存にも有利です。生命にとって生きることより大切な意義はありません(こう考えると、動物の命を奪う食事ではなく、植物を食するヴィーガンやジャイナ教徒の食事は理に適っていると思うのですが、いかがでしょうか)。

哲学者カール・ポパーが述べているように、「反証が可能な場合にのみ」その論理は科学と呼ぶことができます。実際、人間は従属栄養生物であるとする科学的論理は、「哺乳類も太陽光から直接エネルギーを抽出できる」という最近の経験的証拠により覆されたのです。

この研究結果が持つ真の意味

ここで、論文の要旨(アブストラクト)を一緒にみていくことにしましょう。

太陽光は地球という惑星において最も手に入りやすいエネルギー源であるにもかかわらず、太陽光をアデノシン三りん酸(ATP)という生物エネルギーに変換する能力は光合成生物の葉緑体(クロロフィルが含まれている)に限られているとされてきた。しかし、哺乳類のミトコンドリアにクロロフィルの代謝物が混合すると、採取した光からATPを合成することができることがわかった。

シノラブディシウ・エレガンス(線虫の一種)にクロロフィル代謝産物を与えて光に曝すとATP合成は増加し、同時に寿命も延びる。またマウスやラット、ブタといった哺乳類にクロロフィルを豊富に含むエサを与えたところ、体内に蓄積したクロロフィル代謝産物が光をエネルギーに変換する可能性を示唆した。

この結果から推測できるのは、クロロフィル分子はミトコンドリアにおけるATP合成という複雑なプロセスにおいてコエンザイムQ還元の触媒として作用し、その調節機能を担っていることだ。つまり植物の色素であるクロロフィルを利用して動物もまた太陽光から直接エネルギーを生成できることになる。

この研究が明らかにしたのは「哺乳類を含む動物の生命はクロロフィルやクロロフィル代謝物という”植物の血液”の持つ光を摂取する能力を利用することができ、ミトコンドリアによるATP生産は光によってエネルギーを与えられている」ことに他なりません。

研究で明らかになったのは「光がエネルギーの生産をサポートする」ことだけではありません。それ以外にも重要な発見があるのです。

  • 通常、ミトコンドリアの働きが活性化しエネルギー生産が増えると、活性酸素種(ROS)の増加が観察される。しかし実際は予想に反しROSのわずかな減少がみられた。これの発見は非常に意義深い。なぜなら、ミトコンドリアの活動が活発になりエネルギー生産が増加することに伴ってROSが増加するとしたら、細胞など生理的側面にエイジングその他の酸化ストレスを与えることは避けられない。しかしクロロフィルはROSを減少させることから、動物のミトコンドリアに悪影響を与えることはない。 
  • 最適量のクロロフィル与えられたイモムシの寿命が大きく伸びたことから、上記の発見をサポートする結果を得られた。ミトコンドリアの機能が改善すると同時にROSの増加がない場合、細胞の寿命を延ばすことはよく知られているが、このメカニズムとも合致する。

 個人的に特に興味をひかれたのはアブストラクトの最後の部分です。コエンザイムQ10を時々摂取する私は、酸化型コエンザイム(ユビキノン)を摂取した場合と、電子が豊富な還元型コエンザイム(ユビキノール)を摂取した場合では体感に大きな違いがあることに気づいています。還元型の方が、ずっと少ない量でもエネルギーを与えてくれ、生活の質を改善してくれるのです(米国薬局方による分子量は、生態利用効率も生物活性も明示していません)。

とはいえ、この研究が示唆しているのはたとえ還元型だったにせよコエンザイムQ10をわざわざ摂取する必要はないということです。なぜならクロロフィルが橋渡ししてくれた太陽光の採取と、それに続く電子伝達鎖による光のエネルギー化によって自然に還元が起こり(電子の受け渡しが発生し)、ユビキノンがユビキノールに変換され、ATPの生産効率が増加することを示しているからです。

このことはまた、ATP生産が増えているのにROSの増加がみられなかったのはなぜかという説明になるかもしれません。ユビキノールという還元型コエンザイムQ10は活性型抗酸化物質であり、フリーラジカルの働きを弱めたり中和するための電子の受け渡しが可能です。つまり、生物学的にウィン-ウィンの関係にあるのです。酸化的リン酸化、つまり酸化によるダメージなく、エネルギー産出を媒介するのですから。

CoQ10の酸化還元サイクル:ユビキノンがユビキノールに変換される様子

最後に、研究の全体像をつかむため著者による結論をみていくことにしましょう。

日光を浴びる時間の増加と、グリーンの野菜の消費量の増加は、それぞれDhar and Lambert, 2013; John et al., 2004; Kent et al., 2013a; Kent et al., 2013b; Levandovski et al., 2013Block et al., 1992; Ferruzzi and Blakeslee, 2007; van't Veer et al., 2000という論文によってエイジングに伴う様々な症状の改善と関係していることがわかった。一般的には、肌を日光に曝すことによるビタミンDの増加と、野菜を食べることによる抗酸化物質の摂取がその原因と考えられている。しかし日光は地球において最も豊富なエネルギー源である。哺乳類の進化の過程において、人間を含むほとんどの動物は日光のエネルギーを利用してきたのだ。

それでは、動物は太陽光という利益の大きなエネルギーを摂取する代謝経路を持っているのだろうか。

1 光に敏感なクロロフィルのような分子は動物の組織にも存在する

2 クロロフィル代謝産物P-aが存在する単離した動物のミトコンドリア、組織ホモジネート(訳者注:組織をすり潰した液体)、シノラブディシウ・エレガンスにおいてATPが増加する    

3 P-aが存在するシノラブディシウ・エレガンスは光によって基本的な生態が変化したことにより寿命が最大17%増加した

以上の点から、植物や光合成生物同様動物も日光から直接的にエネルギーを発生させる代謝経路を持つと考えられる。追加的研究によってこの結論を確認することが期待される。  

この発見は、栄養学、医薬、細胞学や進化生物学をはじめとする幅広い分野において、現在の基本的な認識を根本から変えてしまうほどのインパクトを持っています。

例えば、祖先から引き継いだ食生活をベースに、理想的な食生活とは何かを検討する議論において、植物という友達の「血液」のサポートを受けることで「動物の細胞も太陽エネルギーを利用できるように進化してきた」とする視点が加わったらどうなるでしょう。「人間のエネルギー源は糖類である」という認識は根拠を失い、人間の生物学的な機能を最大限活用するためクロロフィルを摂取し、太陽光を摂取することが必要だということになります。そうなれば、炭水化物を摂取しすぎとガン、肥満、心臓病との関連にも説明がつくのではないでしょうか。

朝がくれば確実に手に入る太陽光というエネルギーが私たちの体内で日々発生している代謝のエネルギーに関与に寄与するとしたら、パレオダイエットといった動物を多食する食事法についてどのように考えればよいのでしょうか。クロロフィルを豊富に含む植物を日常的に食べることが生存に有利だとするならば、クロロフィルこそ人間にとって大切なエネルギーだと考え、食事法を変えざるを得ないのではないでしょうか。

また太陽光に関する混乱も収束するかもしれません。一方ではビタミンDを合成するなど人間にとって不可欠だと考え、もう一方では皮膚ガンの原因となる悪者だとして化学物質を含んだ日焼け止めを大量に使うという矛盾があることはみなさんもご存知の通りです。こうした風潮にはどのような影響があるのでしょうか。

もし太陽光が有害なら、食事からクロロフィルを摂取する必要もなく、体内の組織にクロロフィルが存在しない方が良いはずです。しかし線虫の研究で明らかになったのは、最適量のクロロフィルの投与がATPを増やし、寿命を延ばす結果をもたらしたということです。

この結果は次々と認識の変化をもたらすでしょう。

この研究には、上述の点以外にもたくさんの意義を持ち、今後も調査を継続する必要があります。ぜひみなさんからのご意見やご感想をお聞かせいただきたいと思っています(あて先はこちらsubmit for publication by emailing us here.

日常生活に生かすには?

読者のみなさんからは「すばらしい発見ですね。でも、日常生活に取り入れるにはどうすればよいのでしょうか?」というご質問をよくいただきます。

まず、グリーンの野菜やジュースは抗酸化物質、ビタミンやミネラルの摂取源だというだけではなく、ミトコンドリアの補因子でもあるという点を考慮すべきです。つまりクロロフィルの存在なしには効率的にATPを生産することができず、人体の持つ生物学的な機能を発揮することも、長寿を達成することもできないのです。

長い間GreenMedInfoを読んでくださっている読者のみなさんは、伝統的な食生活(ここ1万年ほど私たちの祖先がしてきたような食生活)は、現在の一般的な食生活と比較し本来的な意味における「エネルギー」を多く含み、生命にとって不可欠の情報源でもあり(sources of biologically useful information、遺伝子情報が細胞の機能として発現する過程を正しくコントロールしてきたとする私たちの考え方に共感してくださっていることと思います。

フレッシュなグリーンジュースは地球上で最も価値の高い万能薬なのです。従属栄養生物と考えられてきた人間が、望みさえすれば光従属栄養生物として、また光をエネルギーとして利用できる有機体として機能するための栄養的な架け橋となってくれるものだと考えられるからです(人体と光の関係についてご興味のある方は、「Biophotons: The Human Body Emits, Communicates with, and is Made from Lightバイオフォトン:人体から放射される光、人体とコミュニケーションしている光」をご参照ください)。

個人的には、野菜や野菜ジュースを摂取する量を増やすとともに、液体やカプセルのサプリメントから1日最低200ミリグラムのクロロフィルを摂ることをおすすめしたいと思います。同時に、日光にあたりながらエネルギーを消費するアウトドアの活動をするとより効果的でしょう。さらに、日光が体内の細胞に取り込まれ、クロロフィルを代謝するミトコンドリアまで届けられる様子をイメージします。戸外でのエクササイズ後にこのイメージをすることで、肉体の疲労に差が出るかどうか、みなさんお体験をぜひお聞かせいただきたいと思います。

この研究をはじめとする最近の研究成果は、細胞生体エネルギー学を根底から覆すような甚大な影響力を持っています。もしクロロフィル、水、人体のメラニンだけで活動に必要なエネルギーをまかなえるとしたら?(参照:body's own melanin produced were capable of producing most of our body's energy needs?

 

このトピックの重要性を理解する科学者や医療関係者からの投稿によって、今回の結果がさらに肉付けされ、実生活に生かす方法も検討されるでしょう。今後の展開をどうぞお楽しみに!