ハート to ハート

人付き合いは苦手だと感じてきた。小学校低学年の頃から、成績表の「お友達と仲良くできる」の欄が毎回△で母にしかられるのだけれど、何がいけないのだかさっぱりわからなかった。

 

社会人になってからは、同僚の女性たちと一緒に行動するのが苦痛だった。お昼ごはんだって一人で食べたい。他の人のペースに合わせるのでは、休憩時間にならないもの。

 

海外旅行ももちろん一人。

 

良く言えば、一匹オオカミとか、自分を持っている、とか言えなくもない。お一人様なんて私にとっては20年以上前から当たり前だったし。

悪く言うと「協調性がない」。和をもって貴しとする日本では生きづらくて孤独。

 

そんな自分が好きになれず、ずっとコンプレックスだった。どうして私は誰とでも仲良くできないのだろう、友達ができにくいのだろう、と。

 

最近になってようやくわかる。多少弁解がましいけれど、結局私は恥ずかしかったのだ。心の奥底で考えていることを他人に知られるのが。周りの人々とは少々違ったことを考えているらしいと、浅い人生経験ながら、うすうす気づいていたのだ。

 

40歳を過ぎた今、ようやくこうして本心をさらけ出すことができるようになったのは、私の話を聞きたいと思ってくださる方々に出会えたから。人前で話すことを楽しいと思えるようになったのも、興味を持ってくださるみなさんがいるから。そうして私は、自分のハートを相手のハートに届けること以外、人生でなすべきことなど何もないのだということに気づかされた。

 

もっとたくさんのハートに、もっとダイレクトに届けたい。大人になった私の人生が、やっと始まったのかもしれない。